父のこと

私、藤本敦子。

今日は父のことについて。

父は不動産屋の二代目。

趣味は読書、クラシックギター、宝くじ。

元々はお坊さんになりたかったそうだ。

知的探究心が強く、読書量も半端なく、マニアックなものが所狭しとおいてある。

高校生の時からお寺に坐禅をくみにいっていたそうだ。

祖父母は父が一人息子だったため家業の不動産屋を継がせたくて、大学卒業を心待ちにしていたそうだ。

そんなお坊さんになりたかった父が、どうして不動産屋をやろうと思ったのか不思議に思い聞いてみた。

ここは私と父だけの秘密なのだけど、不思議と妙に納得がいった。

父はあまり不動産屋らしくなく、パッと見はふんわりとした雰囲気でウェルカムな感じだけど、芯は強くてとても頑固な変わり者。

人間性が素晴らしくて、人間として美しいなといつも思う。

父の幼少期は、自分の両親が初代だったこともあり忙しい故、甘えたくても甘えられなかったそうだ。

祖父母が忙しかったため、父はご飯をたまに作っていたらしい。

昭和という時代も関係していると推測するけれど、おそらく父の中で色々と思うところがあったのだろうなと思う。

祖父母が一代で築き上げたものを父が引き継ぎ、藤本を守り繁栄させた。

父らしいやり方で。

父は能力が高かった。

そんな父は今はもういない。

先日この世での修行を終え、あの世へ旅立った。

まだまだたくさんお話をしたかった。

亡くなる前日まで普通に喋っていた。

あまりの突然のことで未だに心の整理はついていない。

父の残してくれたものや知識、そして自分という存在。

晩年の父は悠々自適に楽しんでいるように幸せそうに見えた。

父への想いは尽きないけれど、亡くなった今、父の存在の大きさ、偉大さを感じ、ただただ尊敬と感謝が沸き起こる。

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