練習

私、藤本敦子。

今日はベートーベン、ピアノソナタ32番を練習した。

今は取り敢えず、身体に音を覚えさせている感じかなぁ。

今までは、クラウディオ・アラウの演奏ばかりを聴いていたけれど、ダニエル・トリフォノフの演奏を最近聴いて気に入っている。

リズム練習やひたすらゆっくりの練習。

また私の日常が帰ってきた。

でもね、今までと違うことがある。

それは音楽を演奏する前提だ。

何のために音楽をするのかということ。

以前の私は何をするにも、行動の動機が『イジメられない為』『バカにされない為』だった。

イジメられないために、結果が欲しかった。

バカにされないために、結果が欲しかった。

だからたくさん練習をして上を目指した。

でも、行き着く先は何処?

答えは明白。

競争だ。

その先には虚しさ、孤独感。

そこには底なしの渇望感しか残らない。

私の欲しかったものは本当にこれなの?

違うよね。

だって苦しかった。

頑張っても頑張っても満足しなかった。

だったら、違う方に足を出せば良い。

これからは『安心する為』、『健康になる為』、『豊かになる為』、『幸せになる為』に行動することにした。

小さい時、私は思ったように言葉がすぐに出てこなくて、言葉に出来ない思い、持って行き場のない気持ち、学校での出来事、そう言ったものを全て受け止めてくれるのがピアノだった。

(動物もそういう存在だった。)

たくさんたくさん練習していくうちに、昔感じていた事なんて、まるでなかったかのように何も感じなくなっていった。

ウィーンから完全帰国して、なかなかピアノに向き合えなかった。

私には少し時間が必要だったみたい。

小さい頃のようにもう一度、。

もう一度ピアノに心を開いてみよう。

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