私、藤本敦子。
言葉には、温度があると思う。
同じことを伝えていても、
読んだ瞬間に少し肩に力が入る言葉もあれば、
なぜか、ふっと息が抜ける言葉もある。
最近、私はその違いをよく考える。
たぶん今、
多くの人が求めているのは、
強い言葉よりも、
自分の気持ちを、
そのまま受け止めてくれもらえるような言葉なのだと思う。
何かを教えてくれる人より、
まずこちらの気持ちを見てくれる人。
正しい答えを持っている人より、
「そう感じることもあるよね」と言ってくれる人。
そんな人の言葉の方が、
心の奥まで静かに入ってくることがある。
最近のベストセラーをみていても、
「こうすればうまくいく」と強く導くものだけではなく、
「私も迷ってきた」
「うまくできない日もある」
「あなたにも、似たような瞬間があるかもしれない」
そんな距離の近い言葉が増えているように感じる。
そこにあるのは、
たぶん『共感』なのだと思う。
でも共感というのは、
なんでも同意することではない。
相手と同じ考えになることでもない。
私はこう思う。
あなたはそう感じる。
その違いを残したまま、
それでも相手の気持ちを雑に扱わないこと。
「そう感じるあなたにも、ちゃんと理由があるんだろうな」
そうやって、
相手の心を想像しようとすること。
それが、共感なのではないかな。
人は案外、
「変わりたい」と思う前に、
「わかってほしい」と願っている。
「もっと頑張らなきゃ」と思う前に、
「今の自分の気持ちを、まずはそのまま受け止めてほしい」
と思っている。
だから、
人の心を動かす言葉は、
必ずしも強くなくていい。
むしろ、
少し弱くても、
少し不器用でも、
ちゃんとこちらをみてくれている言葉の方が、
残ることがある。
私はこれから、
何かを伝える時に、
「何を言うか」だけではなく、
「この言葉を受け取った人は、
どんな気持ちになるんだろう」
ということを大切にしたい。
正しさより、
温度。
説得より、
安心。
人を動かすより、
人の心が自然に動く余白。
これからの時代、
そんな言葉がますます大切になっていく気がしている。
